
COMPANY PROFILE
- 会社名
- 株式会社タカノ
- 所在地
- 長野県松本市
- 事業内容
- 精密板金加工業
- サイトURL
- https://www.takano-s.co.jp/
抱えていた課題
タカノ様は1972年4月1日に創業し、長野県松本市を拠点に鉄・ステンレス・アルミなどの切断から溶接、組み立てまでを一貫して行う精密板金加工メーカーです。近年は日本全体で労働人口が減少する中、溶接作業者や熟練技術者の確保が難しくなり、技術継承と生産性向上が課題として浮上していました。
特に、角パイプや丸パイプ、ボスなどを組み合わせた複雑なフレーム加工の溶接は、人手による作業が中心で時間や工数がかかる一方、熟練作業者への負荷が大きいという問題がありました。さらに受注増に伴い、短期間で品質を安定させながら生産量を拡大する必要にも迫られていたのです。
導入した協働ロボットやサービスの内容
これらの課題解決のためにタカノ様が選んだのは、ユニバーサルロボット製の協働ロボットです。人とロボットが同じ作業空間で安全に稼働できるため、従来の産業用ロボットと比較して以下のような特長があります。
1. ダイレクトティーチング機能
- ロボットを手で動かしてプログラムを行う「ティーチング」が可能。
- 修正や補正も感覚的に行えるため、専門知識をそれほど必要とせずに操作できる。
2. 高い安全性
- 万が一人がロボットに触れたり衝突したりした場合は、自動で停止。
- 防護柵は主に溶接アーク光を遮る程度のコンパクトな設備で済み、作業スペースを大幅に削減できる。
3. 省スペース
- 大掛かりなパーテーションや広大な設置エリアが不要。
- 小さな工場スペースでも導入が可能で、生産レイアウトの柔軟性が高い。
4.作業標準化のサポート
- 誰が操作しても一定の品質が出せるため、若手や未経験者の育成を容易にし、人材不足に対応できる。
導入の決め手
1. 熟練作業者不足への対応
- これからさらに進む労働人口の減少を見据え、溶接工程の省力化は不可欠。
- 協働ロボットを導入することで、2日かかっていたフレーム溶接が1日で完了できるなど、生産効率を向上できる見込みが大きな後押しとなりました。
2. 操作性・教育コストの低さ
- 一般産業用ロボットに必要な高度なプログラム知識が不要。
- 人が直接ロボットアームを動かして教示できるため、現場作業者の習得時間を最小限に抑えられる。
3. 安全性と作業者の安心感
- 人と協働できるロボットであり、衝突時には停止する安全機構が標準装備。
- 防護柵もシンプルで、溶接光対策のみを行えばよいレベルのため、省スペース化にもつながる。
4. 若手・未経験者への技術継承
- タカノ様では入社時に金属加工未経験の若手社員が多く、最初のハードルを下げるためにもロボットによる標準化や自動化が有効。
- 作業を覚えてロボットを活用できる生産技術者へと成長してほしい」という経営層の想いとも合致。
導入効果と今後の展望
生産効率の向上
協働ロボットの導入により、複雑なフレーム溶接など一部工程で作業時間を半減することに成功。増産体制にも柔軟に対応できるようになりました。
熟練者の負担軽減
繰り返しの多い溶接作業をロボットに任せることで、熟練者には難易度の高い複雑な溶接や品質管理、若手育成といった業務に専念してもらえるようになりました。
若手・未経験者の育成促進
ダイレクトティーチング機能でプログラミングの敷居が低く、新人や異業種から転職してきたスタッフも短期間で操作を覚えられます。将来はロボットを活用する生産技術者としてのキャリアパスが見えやすくなり、モチベーションアップにもつながっています。
安全性と作業環境の向上
人とロボットが協力して作業するため、過度な重作業や危険な工程を減らすことが可能。安全かつ快適な作業環境が整い、生産現場のイメージアップにも寄与しています。
タカノ様は「人が担うべき工程とロボットで自動化すべき工程を上手に切り分けていくことが今後のカギ」と考えています。熟練技術者による高度な溶接や検査工程は人手で行い、協働ロボットが得意とする単純・繰り返し工程は積極的に自動化。こうしたハイブリッドな生産体制を構築することで、労働人口の減少が進む中でも、安定した品質と生産性を維持しながら次世代を担う人材を育成する――タカノ様はそんな新しい製造現場の形をめざしています。