プログラミングレスの革新:FABTECH 2025で見えた未来

はじめに

FABTECH 2025(米国シカゴ)の2日目の朝、主催団体の役員がビジネスSNS「LinkedIn」で「会場にプログラミングレスのロボットが集結した」と投稿し、業界関係者の注目を集めました。従来の複雑なコード入力を必要としないロボット技術が進化し、現場での導入ハードルを大きく下げています。

その中でも特に注目されたのが、ダイレクトティーチングと自律型ロボットの2つの技術潮流です。

ダイレクトティーチング:手で教える、直感的な操作

ダイレクトティーチングとは、ロボットを人の手で直接動かして教示する方式で、複雑なコード入力を不要にする技術です。代表的な出展企業は次の通りです。

・ THG Automation:Universal Robots(UR)ブースにて、協働ロボットによる溶接作業をダイレクトティーチング方式で実演。直感的な操作性が高く評価されました。
・ Vectis automation:現場でのプログラムレス溶接システムを提供。使いやすいソフトウェアとエンジニアリング力で、導入のしやすさが際立っています。
・ Hirebotics:スマートフォンを使った操作で、溶接・切断・塗装などの工程を自動化。現場の柔軟性とスピード感を両立しています。


  • Vectis automation

  • THG Automation

  • Hirebotics

これらの技術は、熟練者の技能を必要とせず、誰でもすぐに使えるという点で、製造業の人材不足や教育コストの課題を解決する可能性を秘めています。
用途は、溶接(MIG・MAG、TIG、レーザー)やプラズマ切断、サンディングなどの研磨工程です。会場内では、プラズマ切断の展示が多いのも印象的でした。

自律型ロボット:RaaSとともにロボットの枠を破るシステム

FABTECH 2025では、自律型ロボットとRaaS(Robot as a Service)の融合が大きな注目を集めました。ロボットは単なる動作機械ではなく、センサーとAIを活用して状況を自ら認識・判断・行動する存在へと進化しています。今では当たり前となったサブスクリプションのソフトウェアのように絶えず進化していくロボットシステムはRaaSモデルを採用していました。

【自律型ロボットの特徴】
・ビジョンカメラやデジタルツインによる自律学習と最適化
・多品種少量・変種変量生産への柔軟な対応
・人手不足やバックログの解消、スループット向上に貢献

【RaaSモデルの利点】
・初期投資不要のサブスクリプション型
・月額・年額で最新ロボットを利用可能
・継続的なアップデートとサポートで、中小企業にも導入しやすい

【注目の事例】
・Gray Matter Robotics:AIと自律制御で研削作業を自動化
・Path Robotics:ビジョンとAIで継ぎ目を自動認識し、溶接をプログラムレスで実施
・Novarc Technologies:AIとセンサーで熟練技能者の不足を補完し、クラウド連携で品質管理を実施。溶融プールをモニタリングし、目的に合った溶接の品質を実現します。


  • Gray Matter Robotics

  • Path Robotics

  • NovarcTechnologies

大変興味深いのが、それぞれのシステムは特定のマーケットに焦点を当て開発していることです。具体的には、活況な防衛や原子力などのエネルギー関連、データセンターなどです。

技術を深化させることと収益性を併せ持ったビジネスはアメリカらしさを感じました。

進化するアームロボット:米独のスタートアップ企業が増加

協働ロボットのリーディングカンパニーUniversal Robotsは、FABTEC 2025で新型「UR8Long(UR8L)」を発表しました。長いアーム(1,750㎜)を持ちながらも、ロボット自身の重量は、44.7kgと軽量化を実現し、吊り下げの設置を可能にしました。すでにUR8Longを評価したシステムインテグレーターからは、「溶接をはじめとする手作業をロボット化するには大変優れている」と高い評価を得ていました。

筆者自身も現地でダイレクトティーチングを体験しましたが、UR5とUR10の中間にあたるような軽すぎず重すぎないタッチの操作感は継承され、従来通りポリスコープ5も選択できることから、ユニバーサルロボットらしい仕上げに感激いたしました。

弊社で開発しているTIG溶接支援システムCTWも即実装可能です。大型ワークへの溶接のニーズが高まる中、日本市場への展開が待ち遠しいです。
近いうちに日本にデモ機が入荷されるので、皆さまに早くご披露したいと考えています。

近年、アメリカでは自国発の協働ロボットメーカーが次々と誕生しています。AIだけでなく、ロボットそのものを創出するスタートアップの台頭は、製造業におけるイノベーションの底力を感じさせます。またドイツ企業もユニークな協働ロボットメーカーが多く展示されていました。新しいプレイヤーの出現は、新たなロボットを定義していくと思います。

まとめ:ロボットは“使える”から“共に働く”存在へ

FABTECH 2025で見えたのは、ロボットが単なる自動化ツールから、人と共に働くパートナーへと進化している姿でした。

これからの製造業において、ロボットは「導入するかどうか」ではなく、「どう活かすか」が問われる時代に入っていることを実感しました。


今後も弊社は、世界で起こる新しいムーブメントの情報発信をすることで、皆様に少しでもお役に立てるように活動してまいります。引き続きよろしくお願いします。

 

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